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草壁シトヒ
ブロガー
普通の会社員でブログ歴は10年以上。

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WEリーグとなでしこリーグの違いを解説!昇格・降格の「入れ替え」はある?

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日本の女子サッカーには、プロの「WEリーグ」とアマチュアの「なでしこリーグ」という2つのトップリーグが存在します。私がサッカー観戦を始めた頃、この2つのリーグの違いがよく分からず、特にチームの入れ替え、つまり昇格や降格はどうなっているのか疑問に思っていました。

結論から言うと、この2つのリーグは似ているようで全くの別物です。そして、ファンが最も気になる「入れ替え」の仕組みにも決定的な違いがあります。この記事では、WEリーグとなでしこリーグの根本的な違いから、運営ルール、そして最も重要な昇格・降格制度について、誰にでも分かるように徹底的に解説します。この記事を読めば、両リーグの魅力が深く理解でき、女子サッカー観戦が何倍も楽しくなります。

タップできる目次

WEリーグとなでしこリーグ|根本的な違いとは?

両リーグを理解する上で最も重要なのは、その立ち位置と目的の違いです。プロとアマチュアという大きな隔たりが、リーグの性格そのものを決定づけています。

プロとアマチュア|最大の違い

WEリーグとなでしこリーグの最も大きな違いは、WEリーグが「プロ」、なでしこリーグが「アマチュア」のリーグである点です。この違いが、選手の環境やリーグの運営方針など、あらゆる側面に影響を与えています。

WEリーグは、選手がサッカーに専念して収入を得られる、正真正銘のプロフェッショナルリーグです。クラブには最低15名のプロ契約選手を保有する義務があり、選手の年俸も保証されています。一方、なでしこリーグはアマチュアリーグの最高峰という位置づけです。所属する選手の多くは、スポンサー企業などで働きながら、就業時間後に練習や試合に臨む「デュアルキャリア」を実践しています。このプロとアマチュアという根本的な違いが、両リーグの性質を理解する上での出発点です。

項目WEリーグ(プロ)なでしこリーグ(アマチュア)
位置づけ日本女子サッカーのトップ(1部)日本女子サッカーの2部・3部相当
選手ステータス主にプロ契約主にアマチュア契約
最低年俸保証あり(270万円/年~)なし
キャリアサッカーに専念仕事とサッカーを両立

リーグの目的と理念|目指す場所が違う

両リーグは、その設立理念や社会的な役割も大きく異なります。WEリーグが目指すのは、単なるサッカーリーグの成功だけではありません。

WEリーグの「WE」は「Women Empowerment」を意味します。つまり、女子サッカーを通じて女性が輝ける社会を実現するという、強い社会的メッセージを掲げているのです。クラブの役職員に一定数の女性を登用する義務があるなど、リーグ全体で女性活躍を推進しています。その一方で、なでしこリーグは、長年にわたり日本の女子サッカーを支えてきた伝統あるリーグです。現在の主な役割は、ハイレベルな競技環境の提供と、将来WEリーグや日本代表で活躍する才能を育成することです。WEリーグが社会変革を牽引する「理念主導」のプロジェクトであるのに対し、なでしこリーグは競技力を追求する「競技主導」のピラミッドと言えるでしょう。

ここまで違う!運営・ルールの比較

プロとアマチュアという違いは、具体的なリーグ運営やクラブに求められる基準にもはっきりと表れます。観戦する上でも知っておくと面白いポイントです。

シーズン開催時期|秋春制と春秋制

リーグ戦がいつ始まり、いつ終わるのかというシーズン制度も両リーグで異なります。これは、それぞれのリーグが何を基準にしているかを示す重要な違いです。

WEリーグは「秋春制」を採用しており、9月に開幕し、翌年の5月に閉幕します。これはヨーロッパの主要リーグや国際大会のスケジュールと合わせることで、日本代表「なでしこジャパン」の活動をしやすくする狙いがあります。対照的に、なでしこリーグは日本の気候や学校年度にも馴染み深い「春秋制」で、3月頃に始まり11月頃に終わります。この違いにより、両リーグを追いかけるファンは、ほぼ一年中女子サッカーの試合を楽しめます。

選手契約と報酬|サッカーで生きていくということ

私が特に注目しているのは、選手たちの生活を支える契約や報酬の仕組みです。ここにもプロとアマチュアの明確な差があります。

WEリーグでは、選手は「プロA」「プロB」「プロC」といった契約形態でクラブと契約します。プロB・C契約でも最低年俸は270万円が保証されており、トップ選手になればさらに高額な報酬を得られます。これは選手がサッカーに集中できる環境を整えるための重要な仕組みです。一方、なでしこリーグにリーグ全体での最低年俸規定はありません。多くの選手は日中企業で働き、その給料で生計を立てながら、サッカー選手として活動しています。選手たちのサッカーへの向き合い方が、リーグの性質を色濃く反映しているのです。

クラブに求められる基準|プロへの厳しい道のり

リーグに参加するクラブに求められる基準、いわゆる「クラブライセンス」も、両者で大きく異なります。特にWEリーグの基準は非常に厳格です。

これは、プロリーグとして持続可能な経営と高い興行レベルを担保するために設定されています。例えば、ホームスタジアムの基準を見ると、その差は一目瞭然です。

スタジアム基準の比較

項目WEリーグ(プロ)なでしこリーグ1部(アマチュア)
収容人数5,000人以上椅子席1,000人以上
照明設備1,500ルクス以上設置が望ましい

WEリーグは、スタジアムの収容人数やナイター開催に必要な照明の明るさ、さらにはU-18などの下部組織の保有まで、厳しく義務付けています。これは、かつての女子サッカーリーグでクラブの財政難による撤退が相次いだ反省を踏まえ、安定したプロの「事業体」であることをクラブに求めているからです。この高いハードルが、プロリーグとしての質を維持する重要な役割を担っています。

【本題】昇格・降格の「入れ替え」制度を徹底解説

さて、この記事の核心である「入れ替え」制度についてです。シーズンの結末をドラマチックにする昇格・降格は、WEリーグとなでしこリーグで全く異なるルールが採用されています。

WEリーグ|降格がない「閉じたリーグ」の理由

現在のWEリーグには、成績に応じた降格制度が存在しません。つまり、シーズンで最下位になっても、下のなでしこリーグに落ちることはないのです。

これは「エキスパンション・モデル」と呼ばれる方式で、リーグ発足から数年間は意図的に採用されています。その理由は、参入したクラブに安定した経営基盤を築いてもらうためです。降格のリスクがないことで、クラブは安心してスタジアムの改修や選手育成、地域貢献活動といった長期的な投資を行えます。WEリーグはチームを入れ替えるのではなく、厳しい参入基準をクリアした新しいクラブを迎え入れることで、リーグ全体の規模を拡大していく方針です。

なでしこリーグ|実力主義のサバイバル

WEリーグとは対照的に、なでしこリーグでは実力主義に基づいた厳しい昇降格制度が採用されています。アマチュア最高峰の真剣勝負が、ここにはあります。

なでしこリーグは1部と2部に分かれており、シーズン成績によってチームが入れ替わります。

  • 1部と2部の入れ替え
    • 1部最下位(12位)は2部へ自動降格
    • 2部優勝(1位)は1部へ自動昇格
    • 1部の11位と2部の2位は、1部残留をかけた入れ替え戦を戦う

さらに、なでしこリーグ2部の下位チームと、全国9つの地域リーグを勝ち上がってきたチームとの間でも入れ替え戦が行われます。この厳しい競争があるからこそ、なでしこリーグの試合はシーズン終盤まで緊迫感に満ち溢れ、観る者を惹きつけるのです。

WEリーグへの道|なでしこリーグからの「昇格」は?

では、なでしこリーグのクラブがWEリーグに上がることはできるのでしょうか。結論から言うと、その道は存在しますが、なでしこリーグ内の昇格のように自動ではありません。

なでしこリーグのクラブがWEリーグに参入するには、リーグに「加盟申請」を行い、厳しい審査を通過する必要があります。この審査では、なでしこリーグでの競技成績だけではなく、これまで見てきたような財務の安定性、スタジアムや育成組織の基準、そしてリーグの理念への貢献度など、多岐にわたる項目がチェックされます。つまり、なでしこリーグで優勝したからといって、自動的にWEリーグに昇格できるわけではないのです。現状はWEリーグからなでしこリーグへの「降格」はなく、なでしこリーグ側からWEリーグへの「参入」という一方通行の道だけが用意されています。

まとめ

WEリーグとなでしこリーグの違い、そして「入れ替え」制度の謎は解けたでしょうか。

この記事で解説した通り、両リーグは日本女子サッカー界を支える両輪でありながら、その役割と構造は全く異なります。

  • WEリーグ|女性活躍の理念を掲げる「プロリーグ」。経営安定を優先し、現在は降格がない。
  • なでしこリーグ|競技と育成を担う「アマチュアリーグ」。実力主義に基づいた厳しい昇降格がある。

私が思うに、この違いを理解することが、女子サッカー観戦を最大限に楽しむための鍵です。WEリーグでは世界レベルのプレーと女子サッカーの未来を、なでしこリーグではひたむきなプレーと生き残りをかけたサバイバルのドラマを味わえます。将来的にはWEリーグにも昇降格制度が導入される日が来るかもしれませんが、今はそれぞれのリーグが持つ独自の魅力を存分に楽しみましょう。

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