2024-25シーズンのWEリーグは、最終節まで優勝の行方がもつれる歴史的な大混戦となりました。3クラブが優勝の可能性を残す中、劇的な幕切れで頂点に立ったのは日テレ・東京ヴェルディベレーザです。この激動のシーズンを締めくくる「2024-25 WEリーグアウォーズ」が開催され、今シーズンを彩った選手たちの栄誉が称えられました。
私がこの記事で、発表された全受賞者を余すところなく紹介します。MVPやベストイレブンはもちろん、新設された賞の受賞者まで、シーズンの興奮を振り返りながら見ていきましょう。
2024-25 WEリーグアウォーズ 受賞者一覧
まずは、今シーズンの栄誉に輝いた全受賞者を一覧で紹介します。各賞に誰が選ばれたのか、一目で確認できます。
賞の名称 | 受賞者 | 所属クラブ |
最優秀選手賞(MVP) | 山本 柚月 | 日テレ・東京ヴェルディベレーザ |
ベストイレブン | GK 池田 咲紀子 | 三菱重工浦和レッズレディース |
DF 遠藤 優 | 三菱重工浦和レッズレディース | |
DF 石川 璃音 | 三菱重工浦和レッズレディース | |
DF 土光 真代 | INAC神戸レオネッサ | |
MF 北村 菜々美 | 日テレ・東京ヴェルディベレーザ | |
MF 菅野 奏音 | 日テレ・東京ヴェルディベレーザ | |
MF 山本 柚月 | 日テレ・東京ヴェルディベレーザ | |
MF 成宮 唯 | INAC神戸レオネッサ | |
FW 髙橋 はな | 三菱重工浦わレッズレディース | |
FW カルロタ スアレス | INAC神戸レオネッサ | |
FW 中嶋 淑乃 | サンフレッチェ広島レジーナ | |
得点王 | カルロタ スアレス | INAC神戸レオネッサ |
ベストヤングプレーヤー賞 | 眞城 美春 | 日テレ・東京ヴェルディベレーザ |
最優秀監督賞 | 松田 岳夫 | 日テレ・東京ヴェルディベレーザ |
フェアプレー賞 | アルビレックス新潟レディース | – |
MOST IMPRESSIVE WE ACTION DAY | ジェフユナイテッド市原・千葉レディース | – |
MVPはベレーザの新ヒロイン|山本柚月選手
今シーズンの主役は、間違いなくこの選手です。最優秀選手賞(MVP)に輝いたのは、日テレ・東京ヴェルディベレーザを悲願の初優勝に導いたMF山本柚月選手でした。ベレーザからのMVP選出は、WEリーグ創設以来初の快挙となります。
圧巻のプレーでチームを優勝に導く
山本選手はシーズン全22試合に出場し、リーグ3位タイとなる8ゴールを記録しました。特筆すべきは、優勝が懸かった最終節のジェフユナイテッド市原・千葉レディース戦です。この大一番で2ゴールを挙げる圧巻の活躍を見せ、自らの力でチームに栄冠をもたらしました。
大舞台での勝負強さは、まさにMVPにふさわしいものです。この活躍が評価され、アウォーズの翌日にはなでしこジャパン(日本女子代表)への初招集も発表されました。まさに飛躍のシーズンになったと言えます。
攻守に渡る貢献と「忍者」の異名
彼女の魅力は得点力だけではありません。右ウイングバックを主戦場としながら、豊富な運動量でピッチの至る所に顔を出し、攻守にわたって絶大な貢献を果たしました。ファンからは、その爆発的なスピードと予測不能な動きから「忍者の末裔」とも称されています。
強烈なミドルシュートと、相手の意表を突くドリブルは、シーズンを通して相手チームの脅威であり続けました。彼女のMVP受賞は、チームの優勝と個人の成長が完璧にシンクロした結果です。
栄光のベストイレブン|今シーズンを彩った11名の選手たち
選手と監督の投票によって選ばれるベストイレブンは、そのシーズンで最も輝いた選手たちに贈られる栄誉です。私が選ばれた11名の顔ぶれを詳しく解説します。
クラブ別選出状況|個の力とチームの結果
今シーズンのベストイレブンは、リーグの勢力図を反映しつつも、興味深い結果となりました。
- 三菱重工浦和レッズレディース|4名
- 日テレ・東京ヴェルディベレーザ|3名
- INAC神戸レオネッサ|3名
- サンフレッチェ広島レジーナ|1名
最も多くの選手を輩出したのは、リーグ3位の三菱重工浦和レッズレディースでした。DF石川璃音選手が3年連続、DF遠藤優選手が2年連続の受賞となり、彼女たちの個人としての高い能力がチームの順位とは別に評価された形です。この結果は、個々の才能の集合体が、必ずしもチームの最終成績に直結するわけではないというサッカーの奥深さを示しています。
注目選手ピックアップ|トップ3の牙城を崩した中嶋淑乃選手
私が特に注目したいのは、サンフレッチェ広島レジーナから唯一選出されたFW中嶋淑乃選手です。優勝を争った上位3クラブ以外の選手が選ばれるのは非常に価値のあることです。
「WEリーグの三笘薫」とも称される彼女の左サイドからのドリブル突破は、リーグ屈指の破壊力を誇ります。チームがタイトル争いに絡めずとも、圧倒的な個の力で最高の評価を勝ち取れることを証明しました。彼女の選出は、WEリーグ全体のレベルの高さを物語っています。
未来を担う若手と得点女王|特筆すべき個人賞
MVPやベストイレブン以外にも、素晴らしい活躍を見せた選手たちが表彰されました。ここでは、得点王と新設されたベストヤングプレーヤー賞を紹介します。
得点王|カルロタ・スアレス選手の圧倒的な決定力
ゴールデンブーツ(得点王)に輝いたのは、INAC神戸レオネッサのFWカルロタ・スアレス選手です。22試合で13ゴールを記録し、チームの優勝争いの最大の原動力となりました。
スペイン出身のストライカーが見せた決定力の高さは、リーグ全体に大きなインパクトを与えました。INAC神戸の選手がこの賞を受賞するのはリーグ史上初であり、彼女の存在なくして2位という好成績はなかったでしょう。
初代ベストヤングプレーヤー賞|眞城美春選手の輝かしい未来
今シーズンから、若手選手の活躍を称える「ベストヤングプレーヤー賞」が新設されました。その記念すべき初代受賞者に選ばれたのは、日テレ・東京ヴェルディベレーザの18歳、MF眞城美春選手です。
ベレーザの下部組織出身で、トップチーム1年目ながら18試合に出場し4得点を記録しました。その卓越した技術と戦術眼から「ネクスト長谷川唯」との呼び声も高く、日本の女子サッカーの未来を担う逸材です。MVPの山本選手が22歳、そして眞城選手が18歳という事実は、WEリーグに新たな世代の波が来ていることを象徴しています。
ピッチ内外での功績|最優秀監督賞とその他の賞
選手だけでなく、チームを率いた監督やクラブの活動も表彰の対象です。ここでは、最優秀監督賞とフェアプレー賞などを紹介します。
最優秀監督賞|ベレーザを頂点に導いた松田岳夫監督
最優秀監督賞は、日テレ・東京ヴェルディベレーザを初優勝に導いた松田岳夫監督が受賞しました。3シーズン連続3位の壁を乗り越え、若手選手を積極的に起用しながらチームをまとめ上げた手腕は、見事というほかありません。
優勝という最高の結果を残しましたが、シーズン終了後に契約満了による退任が発表されました。この決断は驚きをもって受け止められましたが、育成組織を基盤とするベレーザの揺るぎないクラブ哲学の表れとも言えます。
フェアプレー賞と理念の体現
WEリーグはピッチ上の結果だけでなく、社会的な理念も大切にしています。その理念を体現する賞も設けられています。
- フェアプレー賞|アルビレックス新潟レディース
- MOST IMPRESSIVE WE ACTION DAY|ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
クリーンな戦いを続けた新潟レディース、そして地域社会と一体となった活動が評価された千葉レディースの受賞は、WEリーグが目指す方向性を示すものです。
まとめ|新時代の幕開けを告げた2024-25 WEリーグ
2024-25 WEリーグアウォーズは、日本女子サッカー界の大きな転換点を象徴するイベントでした。ベレーザの育成哲学の勝利、山本柚月選手や眞城美春選手といった新世代の台頭、そして浦和レッズの一強時代の終焉は、リーグが新たな競争の時代に突入したことを明確に示しています。
最終節まで勝敗が分からないスリリングなシーズンを経て、WEリーグは確実な進化を遂げています。来シーズンは、どのクラブが覇権を握り、どんな新しいスターが誕生するのか。今から楽しみでなりません。